EC化率とは何なのか?~ECビジネスの可能性~

EC(電子商取引)業界の活況は、2010年代のビジネスを代業するトピックの1つです。市場規模の拡大はもちろん、商取引においてECが占める割合「EC化率」の上昇も顕著な動きといえます。

今回は、最新のデータを元にEC化率の現状を解説。アフターコロナ・ウィズコロナとの関連を含め、今後の展望についても考察します。

EC化率とは?

EC化率とはすべての商取引の内、EC(電子商取引)が占める割合のことを指します。「ビジネスにおいてどれくらいECが利用されているか?」をイメージすることができる指標です。

経済産業省では毎年、電子商取引に関する市場調査としてEC市場に関する調査を公開していますが、データを見るとBtoC・BtoB市場ともにEC市場の成長ぶりが顕著です。

BtoCのEC化率・市場規模

日本のBtoC-EC市場規模の推移

経済産業省が発表している「令和元年度電子商取引に関する市場調査」によると、国内BtoC市場のEC化率は2019年が6.76%。これは前年比で0.54ポイントの増加です。過去10年はいずれも右肩上がりで推移しており、2010年の2.85%と比較すると3.92ポイントの伸びとなります。これは約2.4倍の成長で、この10年のEC市場の活況がうかがえる数字です。

市場規模のデータでも2019年は19兆3,609億円で前年比で7.65%の増加です。2020年代は20兆を超えることが確実視されており、今後も市場がどの程度の伸びを見せるのか注目が集まります。

【EC化率の対象市場:BtoC】

企業と消費者間でのECによる取引金額であり、消費者への販売は家計が費用を負担するものを指しています。

インターネットオークションやフリマサービスなど、個人間で取引を行うCtoCや、税金などの電子申告等政府がサービスを提供し、個人が対価を支払うGtoCは対象外です。

こちらも、国内から海外への販売(輸出)、は含まれますが、海外から国内への販売(輸入)、国内事業者による海外生産の販売、製品が国内を経由しない取引の金額は含まれていません。

BtoBのEC化率・市場規模

日本のBtoB-EC市場規模の推移

BtoB市場でのEC化率は、2019年が31.7%(前年比1.5ポイント増)。市場全体の約3分の1がECを利用してビジネスを展開しており、BtoC市場よりも高い割合となっています。市場規模は352兆9,620 億円で前年比2.5%の増加。

BtoC市場同様に、BtoB市場でも過去10年のEC化率は常に前年を上回る右肩上がりで推移しており、企業間の取引でもECサービスが浸透していることが分かります。

【EC化率の対象市場:BtoB】

企業間または企業(個人事業者を含む)と政府間でECを利用して受発注を行った財・サービスの取引金額とされています。

国内から海外への販売(輸出)は含まれていますが、海外から国内への販売(輸入)、国内事業者による海外生産の販売、製品が国内を経由しない取引の金額は含まれていません。

分野別に見るECの現状

市場全体で大幅な成長を見せるECですが、分野別の伸びにはどのような特徴があるのでしょうか?ここではBtoCでのECの市場規模に注目してデータを考察していきます。

BtoC-EC市場規模および各分野の構成比率

物販系分野

BtoC‐EC市場でもっとも市場規模が大きいのが、物販系分野です。市場規模は10兆515億円(前年:9兆2,992 億円)で市場規模の伸び率は8.09%となっています。

物販系分野のBtoC-EC市場規模

物販系では「衣類・服装雑貨等」が1兆9,100億円でもっとも市場規模が大きく、次いで「食品、飲料、酒類」が1兆8,233億円、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」が1兆8,239億円と続きます。

EC化率では「事務用品、文房具」が41.75%でトップ。次いで「書籍、映像・音楽ソフト」が34.18%、「生活家電、AV機器、PC・周辺機器等」は32.75%となっています。EC化率が高いジャンルは大量購入やECの画面越しでもスペックや実物がイメージしやすいという特徴があります。

実際、サイズや着心地を確かめて購入したい「衣類・服装雑貨等」は市場規模ではトップですが、EC化率は13.87%に留まるなど、商品の特徴とEC化率の関係性が見て取れるデータです。

サービス分野

サービス分野では旅行や飲食、チケット販売などが含まれます。市場規模は2019年で7兆1,672億円(前年:6兆6,471 億円)。市場規模ベースでの伸び率は7.82%となっています。

サービス系分野のBtoC-EC市場規模

細かくデータを見ていくと、「旅行サービス」がもっとも市場規模が大きく3兆8,971億円。これに「その他 (医療、保険、住居関連、教育等)」が7,706億円、「飲食サービス」が7,290億円という並びとなっています。唯一、マイナス成長となったのが金融サービスで5,911億円(-1.90%)。これは、オンライントレードの一般化でECサービスを利用しないユーザーが増えている点や、「店舗」と「ネット」の差別化が進んでいるといった理由が背景にあります。

注目したいのが「理美容サービス」です。市場規模は6,212億円で前年比26.6%の大幅増を記録しています。理美容サービスにはヘアサロン、ネイルサロン、エステサロンといったサービスが含まれますが、スマホの普及に合わせてネット予約が増加。2018年には電話予約が41.8%、ネット予約が40.8%と拮抗していましたが、2019年には電話予約が36.6%、ネット予約が46.1%で数字が逆転しています。

2020年以降はコロナ禍の影響を受けてネット予約の割合が大幅に増加することが予想され、理美容サービスの市場規模が増加することも予想されます。一方で、外出自粛の影響を受けサービス分野が低迷するという見方もあり、今後発表される最新データの動向が注目されます。

デジタル系分野

デジタル系分野のBtoC-EC市場規模

デジタル系分野には、電子出版や音楽配信、オンラインゲームなどが含まれます。市場規模は2兆1,422億円(前年:2兆382億円)で前年比で5.11%の成長となっています。

市場規模がもっとも大きいのが「オンラインゲーム」で1兆3,914億円。次いで「電子出版(電子書籍・電子雑誌)」が3,355億円、「有料動画配信」が2,404億円となっています。

有料動画配信は前年比で62.76%の大幅な伸びを記録。動画視聴のデジタル化が顕著に伺える数字で、2020年以降はコロナ禍の影響でさらに伸びが期待できそうです。同様に電子出版(電子書籍・電子雑誌)では漫画が市場をけん引しており20.58%増となりました。

一方市場規模が最大のオンラインゲームは前年比で4%のマイナス。しかしeスポーツ市場の拡大やコロナ禍による巣ごもり需要の影響は大きいと予想され、次回の調査データでは成長が期待されます。

3つのポイントで見る今後のECビジネスの展望と可能性

ここまで、ECビジネスの現状についてデータを元にご紹介してきましたが、最後に今後のECビジネスの展望や可能性について考察していきましょう。

1.EC化率の増加と共に競争の激化が進む

冒頭でご紹介したように、EC化率はこの10年で大幅な伸びを記録し、今後も右肩上がりの成長が続くと予想されます。とくに海外のEC化率との比較は、今後の国内市場を予測する際にしばしば用いられます。

世界のBtoC市場のEC化率は2019年で14.1%。同年の日本が6.76%であることを考えると、まだまだ国内ECには成長の余地が十分残されているといえます。もちろん、商慣習の違いや国土面積による店舗までの距離といった要素は加味する必要がありますが、今後10%程度までEC化率が増加しても不思議ではないでしょう。

一方で懸念されるのが、EC事業者間の競争激化です。EC店舗が増加すれば、それだけ競合他社が増えることを意味します。価格競争や商品の品質はもちろん、今後は接客やアフターサービス、購入満足度といった「付加価値」が競争材料となります。加えて、喫緊の課題といわれる流通改革の動向も、国内ECで注視すべてポイントでしょう。

2.コロナ禍の影響をどう今後に活かすか

2020年初頭から世界で猛威をふるう新型コロナウイルスの感染拡大。日本でも緊急事態宣言の発令や飲食店への営業時間短縮要請、企業のリモートワーク推奨など私たちの日常は様変わりしました。

多くの業界がコロナ禍で苦戦するなか、売上を伸ばしたのがEC業界です。巣ごもり消費や非対面型の形態が支持され、「コロナバブル」とも呼べる活況を見せています。

今後EC業界ではウィズコロナ・アフターコロナの時代へ向けて、2つのポイントが焦点となってきます。1つは、

  • コロナ禍ではじめてサイトを利用した新規顧客をリピーターへ繋げられるか

もう1つは、

  • コロナバブルの終焉後にどう集客をするか

という2点です。例えば、食品系ECはコロナ禍で大きく市場規模を拡大しました。また、動画配信分野もコロナ禍で加入者が大幅に増えています。こうした新たなユーザーをリピートユーザーとして掴むことが大切です

また、コロナバブルは近い将来終わりを迎えます。ウィズコロナの生活様式に慣れたことで、感染対策を講じた上で実店舗を利用する動きも増えてきました。今後は他社のECだけでなく実店舗も競争相手になります。商品をオンラインで購入できるという利便性に加え、「わざわざECで購入する理由」を顧客に提供できるかが、事業の行く末を左右するでしょう。

3.コト消費とZ世代の動向を注視

近年の消費行動は従来までのモノ消費ではなく、体験型のコト消費へシフトしてきました。サブスク型やオンライン配信、ライブコマースといった形態が人気を集めているのも、ただ商品を購入するだけに留まらない「体験」を消費者が欲しているためです。

とくにデジタルネイティブとして今後のEC市場の主役を担うZ世代は、体験型のコト消費を重視します。また、SDGsやサステナビリティといった社会貢献に対しての関心も高く、こうしたニーズをきちんと把握した上で事業運営に取り組むことは欠かせないでしょう。

また、Z世代はトレンドを掴むスピードが早く、従来までと違い目まぐるしく変化します。ターゲットが「いま何を求め」「何に興味を持っているのか」絶えず社会に目を光らせておく感度の高さも、今後のEC事業には必要となってくるでしょう。

まとめ

2019年の国内BtoCでのEC化率は6.76%で、過去10年はいずれも右肩上がりで推移しています。2010年の2.85%と比較する約2.4倍の数字です。今後も成長傾向は続くことが予想され、新型コロナウイルスの影響を受けオンライン需要が伸びた社会情勢がさらなる追い風になると予想されます。

一方で、競合他社との競争激化やモノ→コト消費の変化など、事業を成長させるには絶えず新しい施策を打ちつつ、より最適な事業運営を目指す作業が求められます。スピード感の早い業界の潮流を掴みながら、着実な成長を目指していきましょう。

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