ファッションECの現状とこれからの予測について

ファッションECの現状とこれからの予測について

アパレルをはじめとしたファッション分野全体の市場規模は、年々縮小傾向にあります。しかしECにおけるファッションの市場規模は右肩上がりで推移しており、EC化率も順調に成長中です。「ファッション業界は厳しい」との声も聞かれますが、まだまだEC市場ではビジネスチャンスが隠れているようです。

そこで今回はファッションECの現状を市場規模やEC化率から考察します。また、今後の市場を予測するために4つのキーワードを選び動向を紹介しています。ファッションECの「今」と「未来」を知るための参考材料にしてください。

ファッションECの現状は?市場規模やEC化率から考察

年度 市場規模 EC化率
2015 1.38兆円 9.04%
2016 1.52兆円 10.93%
2017 1.64兆円 11.54%
2018 1.77兆円 12.96%
2019 1.91兆円 13.87%
2020 2.22兆円 19.44%

経済産業省が毎年発表している「電子商取引に関する市場調査」の最新報告(令和二年度版)によると、ファッション分野を意味する衣類・服飾雑貨等の市場規模は2.2兆円に達するとされています。これは前年の1.9兆円から約16%の成長で、ファッションECの市場規模が拡大していることがうかがえます。

過去5年のデータをさかのぼっても、常に前年度を上回る右肩上がりの成長曲線を維持しており、ファッションECでは活発な経済活動が続いているといえます。

ECを利用して購入した割合を意味するEC化率は2020年が19.44%で、こちらも前年の13.87%から5.5ポイントの成長。EC化率は2015年から比較すると2倍以上に拡大しており、私たちの生活に「ファッションアイテムを通販で購入する」という消費行動が浸透していると見て取れるでしょう。

EC市場は拡大傾向だがファッション市場全体は縮小傾向にある

ECの分野では活況が続くファッション業界ですが、リアル店舗での販売を含む市場全体の動向は芳しくありません。2000年代は10兆円の市場規模で推移していましたが、リーマンショックや東日本大震災の影響を受け消費が冷え込んでからは、10兆円を割り込み9兆円程度で推移していました。少子化によりファッションへの需要そのものが減少しているのも原因の一つです。

矢野経済研究所が発表した最新のアパレル市場規模の調査(2020年)では、2020年の市場規模はコロナ禍の影響を受け7兆5,158億円と大幅減を記録。今後コロナ禍が収束へ向かえば実店舗での販売も増加すると予想されますが、10兆円規模への回復は難しいといえます。

ファッションECの活況は「消費者の購買行動が実店舗からECへ移行した影響が大きい」と見るのが妥当でしょう。今後はECへの移行が頭打ちになった時期に、いかにユーザーのニーズや心を掴む商品や体験を提供できるかがポイントとなります。

これからのファッションECの鍵となる4つのキーワード

ここまでファッションECの現状を市場規模とEC化率のデータから考察してきました。ここからは、今後のファッションECの鍵となるキーワードを4つご紹介します。

未来のファッションECではどのようなワードが注目をされるのでしょうか。

1.パーソナライズ化

個人の属性や購買行動に最適化するパーソナライズ化は、ファッションECで大きな期待を集めています。

自分の体型や骨格に合わせたサイズ選びや、好みや思考に合わせたデザイン選択など、一人一人のニーズにあったファッションを提供することが、これからのファッションブランドの使命です。すでにデジタル技術を活用した3Dボディスキャンやスマホアプリでのデジタル採寸などは実用化され、ユーザーから高い評価を得ています。

またより身近な手法では、一度店舗で採寸をおこなえば以降の購入はすべてECでオーダーできるといったサービスも人気です。

ファッションECではこれまで、実際に商品を試着できない点が課題とされてきましたが、デジタル技術を使えばこうした課題を解決できます。既製品の中からサイズやデザインを選ぶのではなく、自分に合った=パーソナライズ化された商品を購入するのが、これからのファッションECのトレンドとなっていくでしょう。

2.サブスクリプション

定額でファッションを楽しむサブスクリプション(サブスク)モデルも、ファッションECのキーワードです。

ファッションの醍醐味として、多様なスタイルを楽しむ点が挙げられます。しかし何着も商品を購入するとなるとそれなりの出費がかかる上、購入後のスペースを確保するのも一苦労です。ファッションサブスクでは、定額料金で出費を抑えつつ、さまざまなスタイルを楽しむことができます。サービスは買い切り型とレンタル型を選べるため、気に入った商品だけを手元に残せるのもメリットです。

EC企業にとっても、どのような商品がユーザーから支持を集めるのかデータを集めることができます。人気商品は別途自社ECで販売するといった手法も採用できるため、戦略の幅が広がります。

3.SDGs

ファッションECの未来を語るうえで、SDGs(持続可能な開発目標)は欠かせないキーワードです。

近年ファッション業界で大きな問題となっているのが、Co2の排出問題。世界のCo2の6%はアパレル製品を製造する過程で生まれており、環境への影響を危惧する声が高まっています。また、大量生産は資源のムダや動物愛護の観点からも見直しの動きが加速しています。

ファッションECではSDGsの課題解決に向けて、受注生産への転換や先行予約の実施、AIやデジタルツールを活用して需要を予測するといった取り組みを進めています。また製造の現場で働く労働者の環境や賃金を改善する動きも、ファッションにおけるSDGsの目標です。

近年は消費者のニーズも「良いものを長く着る」「環境に配慮したブランドを選ぶ」といった方向へ変化しています。D2Cブランドは製造過程やSDGsに配慮する方針を自社の世界観やストーリーとして訴求するなど、商品の機能性だけでなく情緒的な価値をまとわせることでECビジネスの新たな可能性を提示しています。

4.デジタルファッション

今後大きな伸びが期待されるのが、デジタルファッションです。デジタルファッションとは、バーチャル空間で使用する自分のアバターやSNS、ビデオ通話などで身に付けるアイテムのことです。

現代ではバーチャル空間やSNSアカウントが自分の個性やアイデンティティを発揮する場として定着しており、こうした場で着飾るファッションアイテムの市場が生まれています。バーチャルの世界では自分の体型や性別、人種、出自は関係ありません。自由でフラットな空間だからこそ、独自のファッションを追及できます。

例えば、ECではNFTを使ったアイテムの販売や、メタバース上でのアバターの販売といった市場が勢いを増すでしょう。

まとめ

ファッション業界の市場が冷え込むなか、ファッションECは市場規模・EC化率ともに右肩上がりで成長しています。ECでファッションアイテムを購入する文化が定着してきた点や、ECの「試着できない」という課題に対してデジタル技術を活用した解決策が提示されはじめた点が市場を押し上げました。

今後はパーソナライズ化やサブスクモデルといった、商品や購入の最適化が鍵を握りそうです。また、SDGsに関連した環境課題の解決や、ストーリー性を訴求する取り組みも重要となってくるでしょう。

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